医者は「何を食べたらいいですか」には興味がない

患者さんからよく、「何を食べたらいいですか?」と聞かれます。多くの医者はこう言う質問に対してはとても冷たく答えるでしょう。「特にありませんよ。」これには双方、問題があるように思えます。

患者さんは「これを食べれば病気がよくなる」「これを食べてはいけない」という、テレビの情報番組のような答えを期待しているのでしょう。ほとんどの場合そんな魔法の食べ物はありません。どんなものだって、偏って食べ過ぎれば体に悪いに決まってます。すべてはバランスの問題です。もちろん、心不全や腎不全の時の塩分制限など、ぜったいに守ってもらわなければならない食事制限はありますが、多くの病気は、特別の食品で病状をよくすることはできないのです。

かといって食事が重要でないということではありません。偏った食事は身体をむしばみ、毎日のバランスの取れた食習慣が健康で病気になりにくい身体を作ることは間違いありません。非常に大事なことなのですが、医者にとっては当たり前のことで、あえて自分が伝えるべきことだとは思っていません。患者さんにとってはそこが、冷たく映るのだと思います。